ハイボール大ヒットから学ぶ「売り方」のチカラ

いまや居酒屋の定番、「角ハイボール」。
でも実は、最初から売れていたわけではなく、
“全然売れないウイスキー” だった時期がありました。
当時のイメージは、
「ウイスキー=オジサンが飲むお酒」
若い世代にはほぼ刺さらず、
出荷量はピークの 1/6 まで落ち込み、
市場もどんよりムード。
「味を良くして、ウイスキーの魅力を熱く語る」
そんな王道のやり方だけでは限界が来ていたわけです。
味はそのまま。「売り方」だけ大転換
そこでサントリーの若いウイスキー部長がとった戦略は、
- 中身(ウイスキー)は変えない
- ターゲットと飲ませ方だけを変える
というもの。
具体的には、
- ターゲット:
中高年男性 → 若い世代も含めたライトユーザー - 飲み方:
ストレート・ロック → ソーダ割りの『ハイボール』 - シーン:
食後のお酒 → 「とりあえずの1杯」
つまり、
「ウイスキー」という商品を
「ハイボール」という“別の商品”として売り直した
わけです。
その結果…
- 2008年:8万ケース
- 2009年:80万ケース(たった1年で10倍)
ハイボールはヒット番付に選ばれ、
今では「とりあえず生」レベルで定番のポジションに。
変えたのは「中身」ではなく「売り方」。ここがポイントです。
この話、美容室とかなり似ていませんか?
ここからが本題で、
サロンのメニュー・店販の話にそのまま置き換えられます。
よくある悩みとして…
- 新メニューを導入したのに、ほとんど出ない
- 高単価トリートメントがなかなか選ばれない
- ホームケアを提案しても、お客様はドラッグストアやネットで購入
- 「良い商材なのに、なんで売れないんだろう?」
この時、多くの人は
「このメニュー(商品)、うちのお客様には合ってないのかな?」
と “中身そのもの” を疑いがちです。
でも、本当にそうでしょうか?
サロンでいう「ハイボール化」とは?
ハイボールのように、
中身は同じでも「意味づけ」と「見せ方」を変えるだけ で、
売れ方はガラっと変わります。
例① トリートメントの場合
ただ
「ダメージ補修のトリートメントです」
と説明するのではなく、
- 「今日の仕上がりを◯週間キープする“延長チケット”」
- 「カラーの色持ちを◯%アップさせる“カラー専用ケア”」
- 「初めての方向け“髪質改善お試しコース”の中身」
のように、
- 誰に
- どんな目的のために
- どんな位置づけのメニューとして
出すのかを明確にしてあげる。
例② 店販商品の場合
「シャンプー」「オイル」と単体で見せるのではなく、
- 「“今日の手触り”を家で再現するための自宅ケアセット」
- 「朝のスタイリング時間を5分短縮するためのアイテム」
- 「次回来店まで髪を傷ませないための“防御セット”」
と、
お客様の“困りごと”でくくってあげる だけで、響き方が変わります。
同じ商品でも、
「モノ」として売るのか
「体験」や「成果」として売るのか
で、全然違う印象になるイメージです。
いまの「売り方」は、本当にベストか?
一度、こんなチェックをしてみてください。
- 人気メニューや推したいメニュー、
まだ「ウイスキーのまま」売っていないか? - 「ハイボール的な見せ方」ができる余地はないか?
- 料金表・POP・カウンセリングトークは、
商品の説明だけで終わっていないか?
中身を変える前に、売り方を疑う。
これだけでも、
サロンの売上や、メニューの出方は大きく変わります。

まとめ:商品より先に「売り方」を見直す
- 角ハイボールは、ウイスキーの味を変えずに
ターゲットと飲ませ方(売り方)を変えて10倍売れた - サロンメニュー・店販も、
中身はそのままでも「見せ方」「意味づけ」で化ける - 売れない=商品が悪い、とは限らない。
まずは “売り方の設計” を見直してみる価値がある
同じメニュー、同じ商材でも、
売り方次第で「眠ったまま」か「ヒットメニュー」かが決まる、
という視点を、ぜひ一度サロンで共有してみてください。

