「おすすめはありますか?」と聞かれたとき、美容師が絶対に言ってはいけない一言

お客様から、
「今日って、なにかおすすめメニューありますか?」
「ホームケアでなにかおすすめあります?」
と聞かれたとき、ついこう答えていませんか?
「全部おすすめですよ〜」
「どれもいいですよ〜」
……これ、残念ですがいちばんダメな答えです。
お客様はなぜ「おすすめは?」と聞いてくるのか
まずここを理解しておかないと、会話の軸がズレます。
お客様が「おすすめは?」と聞いてくる理由は、だいたいこの3つです。
- 自分では決めきれない(メニューが多くてよく分からない)
- 失敗したくない(ハズしたくない・損したくない)
- プロの一押しを知りたい(どうせなら“間違いないやつ”に乗りたい)
つまりお客様は、
「あなた(プロ)の“これが一番いいですよ”に乗っかりたい」
と思っているわけです。
ここで「全部いいですよ」と言われると、
- 結局なにも決められない
- “自分で選ぶプレッシャー”が残る
- 「まぁ今日はいいか」と追加メニューも店販もスルーされる
こうしてチャンスがスルッと消えます。
飲食店の事例:おすすめを「具体的に」言うだけで注文が増える
飲食店での有名な話があります。
お客様「おすすめってなんですか?」
ダメな答え:
「全部おすすめですよ」
良い答え:
「でしたら、この唐揚げとポテトと、このサラダが人気です。
3名様なら、唐揚げ2つとポテト1つ、サラダ1つがおすすめですよ」
ここまで言えると、ほとんどのお客様は、
「じゃあ、それで!」
とそのまま頼んでくれます。
ポイントはたった3つ。
- 具体的な商品名を出す
- 数を指定する
- 自信をもって言い切る
これだけで「なんとなく迷っていたお客様」が、スパッと決められるようになります。
同じことを美容室でやればいいだけ
この考え方は、そのまま美容室でも使えます。
NG例
お客様
「なにかケアメニューのおすすめありますか?」
スタッフ
「どれもいいですよ〜。髪の状態見ながらご提案しますね」
一見、丁寧に聞こえるけど、なにも決めてあげていない。
OK例(メニュー提案)
お客様
「なにかケアメニューのおすすめありますか?」
スタッフ
「今日は毛先のパサつきが気になるので、
このトリートメントと、仕上げに髪質改善のスチームケアがおすすめです。
カラーの持ちも良くなります。
お時間は+15分くらいで、料金は+3,000円前後です。」
ここまで言い切れると、お客様はかなりの確率で、
「じゃあ、それお願いします」
になります。
「3つだけ」に絞ってあげるのがコツ
おすすめするときは、多くても3つまでに絞るのがおすすめです。
例:ホームケアをすすめるとき
「今日の仕上がりをキープするには、
① 髪を守るシャンプー
② 潤いを閉じ込めるトリートメント
③ 仕上げ用のオイル
この**3つがあると完璧です。
まず1つだけ選ぶなら、このオイル。
余裕があれば、トリートメントも一緒がおすすめです。」
こう言うと、お客様の頭の中は、
- 買うか・買わないか
ではなく、 - 「どれを」「どこまで」買うか
に変わります。
「全部いいですよ」と言っていたときよりも、購入率もセット率も一気に上がるのは、想像つきますよね。
その場で“合計”まで言い切ると、さらに強い
飲食店の例で、
「5名様ならこれを3つ、これを2つ、これを1つ」
と“合計注文数”まで言っていたように、美容室でもセット提案+合計まで言うと決まりやすいです。
例:トリートメント+ホームケアのセット提案
「今日のダメージ具合だと、
サロンケアのトリートメント1回と、
お家用のトリートメントとオイル、
この3つを1ヶ月集中で使ってもらうと、かなり手触りが変わります。
まとめてだいたい◯◯円くらいです。」
ここまで言ってあげると、お客様は
「そこまで言うなら、1ヶ月やってみようかな」
と決断しやすくなります。

明日から使える「おすすめトーク」テンプレ
最後に、そのまま現場で使えるトークを何個か置いておきます。
メニュー編
- 「今日の髪の状態だと、このケアが一番おすすめです。時間は+◯分、料金は+◯円くらいです。」
- 「ツヤ優先ならこのメニュー、まとまり優先ならこっち。お悩み的にはツヤ重視がおすすめです。」
- 「カラーの持ちを良くしたいなら、このトリートメントを“毎回セット”にするのがおすすめです。」
ホームケア編
- 「今日の仕上がりをキープするなら、このシャンプーとオイルの2点セットがおすすめです。どちらか1つだけなら、まずはオイルからがいいですよ。」
- 「癖と広がりが気になるなら、乾かす前のミルク+仕上げのオイル、この2つをセットで使うと効果が出やすいです。」
- 「今の感じだと、1ヶ月分としてこの3つがベストです。これで◯◯円くらいです。」
まとめ:聞かれたら「全部です」じゃなくて「これです」
- お客様が「おすすめは?」と聞くのは、自分で決められないから
- 「全部おすすめです」は、責任を放棄しているのと同じ
- 具体的なメニュー名・点数・合計感まで言い切ると、一気に決まりやすくなる
- 「3つに絞る」「セットで提案する」「自信をもって言い切る」
——この3つだけで、単価も満足度も上がる
まずは明日から、
「全部おすすめです」禁止
「私の一押しは“これ”です」
と、たった一言を言い換えるところから始めてみてください。

